仮説思考の提案マニア

私は、スタートアップのCEOが商談の最前線で捻り出す提案で、お客さんの真剣度が急上昇する、我が意を得たりと膝を打つようなシーンを目の当たりにすることがあります。

なぜ、そんなシーンが生まれるのか?

それは、情熱と企画を持つトップ同士の対話であることに加えて、顧客側に「企画」はあったが具体化できていなかった、あるいは具体化していても今一つ効果を期待できなかった。そのようなタイミング/状況で、期待を大きく超える提案が展開されたからです。

「よく調べてますね」という褒め言葉?

よく「仮説をもとに提案を作る」、「仮説無しで商談に臨んではいけない」と言われます。初回商談から顧客向けの資料を用意して仮説に基づいたソリューション紹介を展開すると、キーマンと思われる事業部長は、「いやぁ、よく調べてますね。よく弊社の課題を捉えていますよ」といった反応を示し、商談は大いに盛り上がります。ですが、私はこの流れから本格的な受注につながった経験がほとんどありません。時々、PoC(実証実験)くらいまではいきますが、そこで止まってしまうのです。

なぜ、この商談はPoCで止まりなのか?

「思考停止の顧客」と「仮説に溺れる提案マニア」

思考停止の顧客と仮説に溺れる提案マニアがマッチングしてしまっているからです。ネットでのリサーチ、書籍などに出ている情報を散りばめた仮説に、「その通り!」と頷くキーマンは、思考停止中です。思考停止中であっても部門予算は持っているため、外部ベンダーが持ってきた薄っぺらい仮説になびき、「まあ、何とかPoCくらいならやってみようか」と予算を消化してくれます。そうすると、仮説思考の提案マニアは、勝ち筋を得たとばかりに、さらに薄っぺらな仮説思考をドライブさせていきます。

「企画のない人」はキーマンではない

厳しいことを言うと、企画のない人はキーマンではありません。自らの中に熱量のある企画を持つ人が社内を動かし、関係者を巻き込み、社内調整を重ねて予算を取りプロジェクトを動かします。

私は、企画のあるキーマンを探索することが案件獲得の近道と考えています。真のキーマンで自ら貪欲に学ばない人はいません。だからお仕着せの「啓蒙・啓発(説教)」も不要です。堂々と課題感や期待値を確認し、自らのソリューションを投げ掛けましょう。

丁寧なターゲティングとCXOレターで、企画を持つ真のキーマンを探り当て直接アプローチし、 1.5次商談でソリューションと互いの熱量をぶつけ合うのです。そこからが本当の意味での仮説思考のスタートです。