半インバウンドで始まる1.5次商談の中身

半インバウンドを狙う

私の手法で創出する商談は、テレアポで何とかご挨拶だけでもと半ば強引にこじ開けた「警戒心多めの1次商談」ではありません。例えば、手書きのDMを受け取った企業の代表者(CEO)が「こんなのあるよ」と興味を持って担当者に渡し、そのご担当者から問い合わせてきてくれます。アウトバウンド起点でありながら、心理状態はインバウンド(興味津々)に近い状態でスタートします。私が電話での追客を推奨しない理由はここにあります。

尚、法人営業での「ご挨拶」はれっきとした商談です。このことを最も理解しているのは経営層です。技術畑出身の社長であっても、そうした現場における本質的な人間関係の重要性を身をもって理解されています。ですので、手紙にも「ご挨拶でお時間をいただきたい」と堂々と書きます。

品定めや警戒ゼロ

普通の初回商談(1次商談)なら「どんな提案ですか、何ができますか?(品定め)」という空気が漂いますが、良質な商談では、こちらから「自己紹介を…」と切り出しても、お客様の方から「いや、先にうちのことを少し話しますね」と、現状の課題や悩みに関する目線を合わせてくれます。きめ細やかなターゲティングによる手紙が「売り込みへの警戒感」をあらかじめ下げてくれているからです。

質疑応答のプロセスでも、「貴社の製品は大企業のほんとかゆいところに手が届きますね」「実はうちも○○○を考えていて…」と、すでにリスペクトと興味を持った状態で対話が進んでいきます。手書きの手紙は、ロボットが書いた印刷物ではなく、人間が書いた文字であり、所々インクが滲んでいたりもします。「デジタル全盛期にこんな丁寧なアプローチをしてくるのはどういう会社だろう?」とWebサイトを見ると、最先端のAI開発や量子技術のスタートアップだったりします。手書きと文面から滲み出る信頼感も相まって、お客様の期待感は自ずと高まります。

売り込まず、戦略を共同探求

こうなると、商談は「売り込み」ではなく「戦略の共同探求(対話)」に変わります。一方的なプレゼンではなく対話を重ねていく中で、お客様自らが弊社のソリューションの利点や、現行利用している他社サービスとの違いを語ってくれます。そのうえで、「このソリューションを導入することが、喫緊の経営課題である○○○を解決し、自社の○○○を加速する」という明確な戦略が自然と浮き彫りになり、お互いに膝を打つ展開になります。

ここまでの展開、30分もあれば十分です。

顧客相関図を描き、不戦勝に導く

ここから後半30分で、 徹底的にラポールの形成と多階層アプローチの仕込みを行います。 一方的な質問攻めにならないよう私自身のことも開示しつつ、ご担当者がどのようなキャリアを歩んできたのか、役員とのコミュニケーションラインは強固か、今回の企画推進にあたって抵抗勢力になる人物や部門は存在しないか、他社にも声を掛けているか、役員会での承認が必要かなど、一気に顧客の社内相関図を描いていきます。この時点で目の前のご担当者はキーマン兼コーチ役と位置づけます。(※キーマンとコーチ役の役割・構造については『キーマンアプローチ』をご覧ください)

そして、ネクストアクションとして、「提案前に先方役員との面談設定」の約束を取り付けます。提案前にこだわるのは、経営層が提案で重視するポイントを十分に確認・擦り合わせを行い、 事実上の「不戦勝」 に導くためです。